東北・岩手は少し涼しい感じの1週間で、夜や早朝など寒いくらいでしたが、だんだんに温かみが戻って来ているようで、少しほっとしています。田はちょうど中干しの間、雨も降らず良い感じでひび割れてきましたので、1週間で再び水を入れ、これからの減数分裂期、出穂期に備えたいと思います。いまは幼穂形成期になるんでしょうか。
さて、そんな夏の日差しがちょっと恋しい奥羽の盛夏(ですよね?)ですが、今年もブルーベリーが青みを帯びてきました。
いまの時期は草取り・草刈りが中心で(田の草取りは終わりました)、掘ったにんにくの皮むき、それに極早生りんどうの出荷も少しありますが、比較的穏やかな毎日です。とはいえりんどうの本格出荷までにまだ小麦の刈り取りもあり、決してラクな状況ではありません。収穫に備えてブルーベリー園地の草刈り作業も何とか終わらせました。結構時間がかかります。りんどう生産者にとって、「いまのうちに」の作業が結構多いもので、計画を立てながら日々をこなしていかないといけないですね。
その中の懸案の一つが放射線測定でした。
先週の金曜日7月20日、掘りたてのにんにくと一番最初のブルーベリー収穫が揃ったので、前回のにんにく記事でも触れましたが、西和賀町役場にこの初夏より導入されたシンチレーション装置で測定してもらうことにしました。
許可が出なかったので、装置の撮影はできませんでしたが、素材をとにかく細かく破砕して1リットルの容器に詰め、鉛の装置にセットしてパソコンによる操作するタイプ。本体と言えるのは鉛の部分のみのようです。約20分で測定終了するというものでした。HPのトップとショッピングのページにも記載しておきましたが、セシウム134,137ともにnot detectedでした。下限値は約10Bq/kgで、ブルーベリー、にんにくの134,137で各々違う数値でした(7.83〜11.6)。
ブルーベリーは準備が簡単で良かったのですが、にんにくの方が大変で、土の付いた外側の皮を取り、鱗片の皮をむき、それをさらに細かく砕いて隙間をなくするという作業。役場の給湯場付近にはにおいが立ちこめてくるし、作業にあたってくれた課長さんにはずいぶん手間をかけさせてしまいました。
ブルーベリーについては、セシウムを吸いやすい品目ではという声もちらっと聞いたことがありましたし、まず安心しました。
米やにんにくと違いブルーベリーは保存ができませんので、現状ではこの3週間あまりのうちに売り切ってしまわなくてはいけません。いずれはまず冷凍保存して農閑期にジャムにするとか、あるいはドライ・ブルーベリーも考えているのですが、いずれそれなりの装置が必要になってくるので、今年は生で売るしかありません。ラズベリーやカシスも植えていますので、3種のドライ製品セットなど、需要があるかもしれませんね。保存もできますし。
この短い収穫期間中にサイトを見てもらい、注文に至るというのは確率的に低いことではありますが、運良くご覧くださった方々には、ぜひお試しいただきたいと思います。
生食用に専用のパックに詰めて送るタイプのものと、大きく袋に入れて、多少の不揃いも含めて発送するジャム加工用の2タイプを用意しています。後者はもちろんお買い得な値段にしているのですが、地域でジャム加工を大きく行っている知人に聞いたところでは、熟し具合が不揃いの状態の方がジャムには向いているそうで、かえって良い味に仕上がるとか。
保存の意味も含めジャム加工にお求めいただけるよう、ご案内いたしております。ヨーグルトにかけてもおいしいです。
さて、もう一つ夏場の収穫でまだ残っているのが、小麦です。今年は残雪と寒冷でにより大幅に遅れました。雪のない岩手内陸部でも2週間は遅れたと思います。こちらもそんな感じで、本来7/15頃の適期が月末までずれ込む気配です。
手前が南部小麦。収穫期が近づき濃い茶色になっっています。一方、見えづらいですが奥の白っぽいところが「アリーナ」です。ゆきちから以上に白いようです。本サイトでも触れていますが、二戸市に赴任したシュトルム神父が本国スイスより持ち込んだと伝えられる品種で、明らかに普通の小麦と違います。実そのものは同じようですが。
南部小麦も、岩手の食文化の底支えをしているブランドですが、中力で、それよりも強いのがアリーナです。県内有機農家の方の印象では強力のゆきちからよりもおいしいパンになるとの評で、これと南部の二本立てとしました。
ちなみに、「ルーブル美術展」が盛岡の県立美術館で開かれて見に行った時、別室の展示室でこのアリーナを持ち込んだシュトルム神父のブロンズ像が展示してありました。「アリーナ」の件はなかなか検索でも知ることができず、口頭で聞いているだけですので、いろいろ調べてみたい気もするのですが、それはまず農閑期のことですね。