3月11日の今日は、朝から雪降り。。。午後の震災時刻の頃にやっと止み、穏やかな曇り空でした。昨日よりはあったかいです。
震災の日の夜は猛烈な雪で視界不良の上、信号もなく、車のライト以外に明かりのない道路の運転でした。時折り運転していてもはっきりわかるかなりの余震の揺れを感じながらの、しかも金曜の帰りに入れるつもりでガソリンギリギリの状態での帰路のことが鮮やかに思い出されます。カーラジオをつけていましたが、何を放送していたか、全く憶えていません。今日は日中はラジオの特別放送を聞きながら、ハウスの雪掘りをしたり、農業関連の調べものをして過ごしました。
昨日は盛岡へ出かけ、子どもたちはシーズン最後の(といっても2回目ですが)スケートを楽しんで、そして午後から夕方にかけ、盛岡の南、矢巾町内の農家さんのところに「たらの芽のふかし栽培」の見学に行ってまいりました。
かえって子どもらが迷惑をかけていたかも。。。
冬期の営農というのは特に豪雪地であるわれわれの土地の者にとっては実に根本的な課題です。2mの積雪(数年前までは最大1.5mの積雪ですよと言っていましたが、近年は2mが通常になっていますので、これが例年と言った方が良いと感じています)の中では、現実的にはハウス栽培しか無理でしょう。
たらの芽はりんどうと同じで、すぐに出荷できるものではありません。春に苗を植えて1年はまるまる養成し、次の年(2年目)の晩秋にこのように生育した茎を畑から伐採し、それを最初の写真のように芽ごとに切って施設内で出芽させ、出荷するという作型になります。ちょうど2月3月の出荷になるので、冬の仕事としては最適かと思います。茎を刈り取る時期はちょうど根雪の直前で、問題ありません。真冬に雪を掘って採ってこいといわれれば、諦めるしかありませんが。
暖房は薪でした。薪割りせず丸ごと投入できるタイプですね。シンプルでかっこいいし、灯油を使わないで米等を乾燥させる方針の当園にとっても、理想の暖房法です。スチールのチェーンソーも買いましたしね。
通常、たとえばハウスのイチゴ栽培など、日本海気候の豪雪地帯では積雪期以外も含め日照が足りないなどと言われることがあり、まさに真冬などほとんど太陽は見れなかったりしますが、「ふかし栽培」では、写真のごとくむしろ遮光をしているほど。棚も2段にすることで省スペースとなるわけで、除雪の労を考え小さなハウスでも十分出荷作業量をこなすことができるものです。もちろん暖房費の節約にもなります。
この矢巾町の藤原さん宅では、夏はキュウリの専業、そして冬はこのたらの芽栽培で周年営農をされています。ちなみに奥様は私がいま勤めている盛岡普及センターの普及員ですので、専門知識や技術指導面では完璧ですね。県職のかたわら土曜日曜は家業の手伝いで、ご苦労様です。たらの芽のために50坪ハウスを新設されたとのことですが、たっぷりと作業スペースも確保され、ハウス面積としては十二分という感じでした。私が始める時はこの藤原さんの指導を仰ぐことになるでしょう。若くて熱意のある農家さんでした。時に出荷が集中し深夜残業もあったそうですが、一層のご活躍をお祈りいたします。高齢化が進む中、こういう農家が新しい品目にチャレンジし、試行錯誤の努力をして所得を得る。頼もしいし、やり甲斐を感じさせられますね。
木を少しいただいたので、発泡スチロール箱に立て、水を入れました。部屋に置き、これから観察したいと思います。
また、半端物ということでたらの芽も頂戴しました。早速天ぷら等でいただきたいと思います。光線の量や温度で色合いも変わって来るそうで、多湿によるカビに注意が必要とのことです。ハウスを閉め切る時期だし、雪国では特にも空気を循環させる扇風機は必要と感じました(藤原さんも使っておられました)。
一方、沢内のわが家の水稲ハウス。3間×6間の小さな18坪ハウスですが、一応補強も入っております。3年前に当地を去られた方から譲られて、抜きに行き、こちらに移設したもの。その様子も当時記事に上げました。ふかし栽培はこちらでやることになりますね。
先週の日曜日3月4日に雪掘りに着手した後の写真です。周囲を50cm掘り、ハウスの中は多い箇所を30cmくらい掘ってとりあえず高さが均等になるようにして、スコップをジャキジャキ突き刺して空気を入れ、第一段階終了というところ。
こちらが本日の作業後の様子。ハウス内に2本溝を入れました。
冬もビニールを掛けてとなると、やはり除雪機が欲しくなりますね。日々の作業としてスコップでもできる面積ではありますが、投げ上げる場所がすぐに遠くなるので、、。とはいえ除雪機も遠くへ飛ばせるクラスでないと通用しないので、車を買うくらいかかるんですよね。
たらの芽の冬期栽培は結構あちこちで行われ、いまや新奇なもの狙いの品目ではないでしょうね。奥羽の里の雰囲気にもうまくマッチングするものという気がします。